
今年の春の終わり、岐阜の自宅の土地が増えた。
増えた土地は自宅から離れた耕作放棄地。
別に欲しかったわけではない。
うちの家が昔、地主だった頃に貸していた土地を、
戦後もそのまま兼業農家に貸していた。
そして、毎年、年貢なるものがお金として支払われていた。
高校を出てから、ずっと一人暮らしをしていたので、
それらのことを知ったのは、約20年ぶりに戻ってきたつい最近のことだった。
農家の後継者不足問題もあり、返したいとおっしゃったのである。
「土地が増えるなどとは、めでたいことではないか!」
時代感覚が違う信長はそう言う。
都会の土地と違って、田舎のしかも家などが建てられない田畑である。
僕は農業とは無縁の生活を送ってきた。
そんな時、ネットサーフィンをしていたら、
江戸時代の民話「種まき権兵衛」の話にぶち当たった。
鉄砲の名手だった権兵衛。
元武士から農家になった父親は、農業を継いでくれることを願っていた。
しかし、権兵衛は、農作業を手伝うこともなく、
山に籠り、来る日も来る日も狩猟に明け暮れていた。
そんな折、権兵衛の父親が亡くなった。
権兵衛は改心して、農業を始める。
しかし、農業とは無縁の生活を送っていた彼は、
鍬の持ち方から、種の撒き方まで慣れていなかった。
撒いた種をカラスに食べられている様子を見て、
村の人は彼をバカにした。
「権兵衛が種まきゃ、カラスがほじくる」
という有名なフレーズは、そのことを唄っているのである。
それでもあきらめずに権兵衛は種を撒き続け、
紆余曲折ありながらも、やがて村一番の農家になる。
そんな種蒔き権兵衛のことを知ることができる「種まき権兵衛の里」という場所が、
三重県北牟婁郡紀北町にある。
国道42号線から種まき権兵衛の里に向かう分岐点に建っている喫茶店に立ち寄り、
朝食をいただく。
飲み物の金額に100円増しでトースト、
200円増しでサンドイッチ、
300円増しでホットサンドのモーニングがつく。
ノートパソコンの電池がなくなっていたため、
コンセントをお借りできないかお願いすると
嫌な顔一つしないで、どうぞと言われた。
コンセントをお借りしたから、
言う訳ではないが、
このモーニングのサンドイッチは、
パンにいい具合で卵が馴染んでいて美味しかった。
種まき権兵衛にまつわる資料館に行き、
自宅の耕作放棄地について、
何かインスピレーションが湧かないかなぁと期待して行ったのだが、
世の中、そんなに甘いものではなかった。
今のところ僕自身が本格的に農業をやることは考えていないが、
このまま耕作放棄地を放っておくわけにもいかない。
もう少し考える時間が必要なようだ。
しかし、その間にも雑草は生えてくるし...。
さて、種まき権兵衛が村一番の農家になった後の話。
彼の住む馬越村に人を苦しめる大蛇が現れた。
権兵衛が立ちあがり、自分が得意な銃で退治に向かった。
見事、大蛇は仕留めたものの、
大蛇の毒にやられた権兵衛は、翌朝、息を引き取ったそうだ。
