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信長さん、喫茶店行こまい
「喫茶店がスナックの役割を果たす(東海道サンポ3)」
2010/08/18/07:27

一宮市を歩いているとスーパー銭湯が目に入り、誘われるように入って行った。
これが大失敗だった。
スーパー銭湯自体は、よかったのである。
良すぎたくらいである。

ぬるめの露店風呂に、ゆったり浸かり、
ビーチチェアで裸のままひと眠りしたら、身体が動かなくなってしまった。
一日のノルマ30キロの半分も歩いていないのだが、
身体が慣れていないせいか、肉体が悲鳴をあげていたのである。
ロビーの休憩室の椅子に座ると、また眠ってしまった。
起きると22時を回っていた。

このままスーパー銭湯に泊まってしまおうかとも思ったが、
このスーパー銭湯は午前1時まで。
しかもここで歩かないで終了してしまうと、翌日にしわ寄せが来る。
せめて名古屋まで歩こう。
そう思ってスーパー銭湯を出た。

名古屋まで16キロの表示が出ていた。
名古屋駅近くのカプセルホテルに到着したのは午前3時を過ぎていた。
倒れ込むように眠り、9時まで、その姿勢のまま目を覚まさなかった。
起きた時には身体中の節々が痛んでいた。
40過ぎても、翌日に筋肉痛が出てくるんだなぁ...と喜んでいる場合ではない。
痛くても進まなくてはならないのである。

こうして名古屋駅前を10時過ぎに出発する。
線路沿いを東に1時間程歩いて行くと、金山駅周辺に辿りつく。
これで国道19号線を熱田神宮の方向に向かっていけば、
国道1号線と交差する。
後は、国道1号線を東に進んでいけば、東京まで辿りつくはずである。

その時、喫茶店の黒板の今日のランチ「カレー」の文字が目に留まった。
少し早いが朝食も食べていないので、早目のランチをとることにした。
地元客が一人座り、カレーを食べながら、店主らしき女性と会話をしていた。
僕もカレーとアイスコーヒーを注文する。

R0017958.JPG

いつからだろう。
カレーの色を想像すると濃い茶色をイメージするようになった。
少なくとも僕の子供の頃のカレーのイメージは黄色だった気がする。
僕が大好きだった戦隊ヒーロー「ゴレンジャー」の中で、
黄レンジャーがいつも食べていた黄色のカレーが僕の脳には刻まれていたのである。
久しぶりに当時を思い出させるようなカレーだった。

「親なんだけど、優しくなれないんだよねぇ」
カレーを食べていたおばちゃんが、
食後のアイスコーヒーを飲みながら、
自分の母親を介護している苦労の愚痴を吐きだし続けていた。

時計は12時を回り、周囲のオフィスの男性客が続々と入ってきた。
「自分の子供だから、どうしても甘えも出るしね。
時にはヘルパーさんにまかせちゃったら?」
女性は忙しそうに、ランチ用のトレーを並べ、おかずの付け合わせを並べながらも、
一つずつの愚痴に対して丁寧に答えていた。
「そうだねぇ。
週に一回くらいはそうしてみようかしら。
あぁ、これだけ吐き出したらすっきりしたわ。
ありがと~」
そう言って、支払いを済ませると彼女は出て行った。

地元の飲み屋やスナックのような役割を喫茶店が果たしていた。
これはチェーン店のカフェにはない喫茶店の役割なんだろうなぁと思った。
僕も元気が湧いてきたような気がした。
もう少し歩いてみますか。

本日、信長の出番なし。

PROFILE

イシコ
1968年岐阜県生まれ。静岡大学理学部卒業後、女性ファッション誌編集長、WEBマガジン編集長を経て、(有)ホワイトマンプロジェクト設立。国内外問わず、様々な分野から参加するイシコの友達が白塗りをして、子供向けのショー、映像制作、本、ワークショップなど様々なコンテンツを生み出していく。2008年からは世界の一都市一週間のペースで滞在する「セカイサンポ」をスタートさせ、2009年3月「セカイサンポ2」まで終了。ここ数年は執筆活動が多く、機内誌、新聞、WEBなど様々な媒体にエッセイ、ブログを寄稿している。